管理規約以外に民泊についての制限をかける方法は?
管理規約の改定は、総会決議しかも区分所有者および議決権総数の4分の3の賛成がなければできない「特別決議」が必要であり、「出席者」の過半数で良い普通決議と異なり、日頃から住民の関心が薄いマンションではかなりハードルが高い決議になりますので、しっかり事前の準備が必要となります。
新法の施行前に各管理組合で対応するために、事業の届け出をする事業者の適格性を判断する手続きの一つとして、国土交通省では「管理規約に明記が無くとも、理事会決議等で判断する」という方針を出しています。判断の材料として、事業者が都道府県へ届出を出す際に管理規約規定が特にない場合には「管理組合に住宅宿泊事業を禁止する意思がないことを確認したことを証する書類」を添付することになっています。
具体的には、「届出時点で住宅宿泊事業を禁止する方針が総会・理事会で決議されていない旨を確認した誓約書」または「住宅宿泊事業法成立以降(平成29年6月以降)の総会・理事会議事録」で確認することが検討されています。
これは、管理組合が禁止をしたければひとまず理事会で禁止する方針を決議さえすれば、管理規約改正をしなくとも禁止できることになります。
規約の改定決議に時間がかかりそうであれば、正攻法ではないのですが管理規約改正以外にも「ルールを明示する方法」があります。それは「使用細則に民泊についての規定を委ねる」という手段です。
第12条の2項に追加する規定を「区分所有者が、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することを可能とするか否かについては、使用細則に定めることができるものとする。」と使用細則にパスする規定の改定を特別決議で設けておき、じっくり時間をかけて十分な議論を経たうえで、許可または禁止の規定を使用細則に規定するという方法です。
組合としての意思が決まっているなら、使用細則の改定※を先に行っても良いですし、柔軟な対応が可能となります。
※使用細則の改正は普通決議